2013 年 69 巻 4 号 p. I_417-I_428
津波災害の新たな評価指標として,津波被害関数の構築とその高度化が検討されている.本研究では,津波を引き起こすと考えられる歴史地震を想定した千葉県内の建物被害を評価するため,津波被害関数を新たに構築した.津波被害関数は,東北地方太平洋沖地震津波における千葉県旭市の建物被害データと津波数値解析の結果から,建物が晒される浸水深等とその被害率の関係を確率分布関数によって表現した.さらに,主に千葉県や神奈川県が実施している津波被害想定に使用されている津波波源モデルを利用した津波数値解析を行い,各地震津波による千葉県内の被害建物棟数を推定し,被害の傾向を分析した.