2013 年 69 巻 4 号 p. I_429-I_439
本研究は,過去に建設された鋼製橋脚において,フィレットがないタイプの隅角部に着目し,その様な隅角部において溶接未溶着が内在する場合の極低サイクル疲労き裂の発生と最終的な破壊モードに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした実験的検討である.近年,溶接構造物の施工時における溶接不具合(欠陥)の内在が問題視されており,隅角部の梁-柱接合部におけるフィレットを極力小さくした上で,十字継手の溶接脚長の大きさを既往における研究実験供試体より小さくし,未溶着部から破壊するように設計・製作した供試体について繰り返し載荷実験を行い,溶接未溶着高さが延性き裂発生と進展に与える影響を実験的に検証した.実験の結果,未溶着高さの違いが延性破壊の特性に大きく影響することが明らかにされた.