2013 年 69 巻 4 号 p. I_583-I_591
コンクリートアーチダムの中には,建設後50年近く経過するものも多く,大規模地震時の安定性への社会的関心の高まりもあり,より合理的な耐震性能照査が必要となっている.アーチダムの耐震性能照査においては基礎岩盤を考慮したモデル化が行われているが,固有値解析の際に基礎岩盤の質量を考慮すると堤体の振動モードの抽出が困難になることが指摘されている.また,アーチダムのように半無限的に広がる基礎岩盤の上に建設される土木構造物の地震応答解析を行う際には,解析領域と自由地盤との間の境界条件を適切に設定しなければならない.以上より,本研究では固有値解析を実施する際の岩盤質量の与え方に関する検討と,地震応答解析を行う際に実現象を精度よく再現するための境界条件の与え方について検討を行った.