抄録
本研究は,時間先取りで災害状況を予測し,最適な災害対応を実現するための「災害状況の時間的・空間的な推移モデル」を構築することを目的とする.これを実現するための基礎的な検討として,本稿では,ランニングスペクトル解析を用いた災害状況進展過程の解析システムを開発する.そして,ケーススタディとして,これを福島民報の解析に適用した.その結果,解析時間幅Bが短ければ,上位に多様なキーワードが登場し,解析時間幅Bが長くなれば,平滑化の効果が大きくなり,少数の種類のキーワードが上位を占めることが確認された.本開発システムは,今後の災害における大量の情報処理において,災害の時空間的な推移を解析するために,非常に有効な手法となる.