2014 年 70 巻 1 号 p. 31-50
鋼製ラーメン橋脚隅角部の設計は道路橋示方書に具体的な規定がないため,従来から高速道路会社の設計基準に準じている.この設計法はせん断遅れに起因する応力集中を考慮した弾性設計のため,隅角部の重量が一般部に比べて増加し,施工性や経済性に不都合が生じる場合がある.さらに,大規模地震への適用性が確認できていない.このような背景から,筆者らは隅角部の新たな設計法の確立を目指し,隅角部の耐荷力や弾塑性挙動を解明すべく研究を重ねてきた.本研究では,これまでの研究で得られた常時およびレベル1地震に対する知見を整理し,新たにレベル2地震に対する検討を行ってそれらを体系化することで弾塑性挙動とフィレットの効果を考慮した設計法を提案した.また,提案設計法を用いて実橋を試設計することにより適用性と有用性を示した.