2014 年 70 巻 1 号 p. 51-66
斜杭基礎のキネマチック・インターラクションの特性把握を目的に,乾燥砂で満たされたせん断土槽に直杭基礎と斜杭基礎を並行に設置し,両者を同時加振する遠心実験を実施した.その結果,水平加速度応答に関して斜杭基礎の制震性向上の効果が全周波数領域にわたって得られること,地盤の非線形化に伴う剛性低下が激しくなると,水平加速度応答の低減率は一段と増大することが分かった.一方,斜杭の杭頭の曲げひずみならびに軸ひずみは直杭よりも大きくなる.これは斜杭による制震性向上の代償として,斜杭には大きな断面性能が求められることを示すものである.ところが地盤の剛性低下が顕著になると,杭頭の曲げひずみならびに軸ひずみの直杭に対する斜杭の応答倍率は小さくなり,制震性向上の代償が緩和される傾向を示すことが明らかになった.