2014 年 70 巻 2 号 p. 265-281
従来の鉄道構造物の耐震設計では,地震時列車荷重を列車重量の30%を上限として考慮する手法が用いられてきたが,この手法の妥当性は十分に示されていない.本論文では,鉄道車両の動的影響を考慮した鉄道構造物の耐震設計法を提案することを目的に,数値解析による検討を行った.その結果,車両系の動的効果により,地震動の周波数特性,構造物の塑性化の程度,構造物の降伏振動数に依存して応答塑性率は最大で-50~+20%の間で変化すること,列車の集中荷重効果により,列車重量を等分布で想定するよりも構造物の地震時応答は大きくなることが明かとなった.加えて,耐震性能評価における列車重量の簡易モデル化手法として,動的解析の場合には車両系の動的効果を等価重量率を用いて評価する等価重量法を,静的解析の場合には等価慣性力法を提案した.