抄録
新たに開発した橋梁用高強度アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼線を平行に束ねたストランドの耐食性を,従来より用いられている亜鉛めっき鋼線ストランドと比較研究した.試験ストランドは,相対湿度60%,相対湿度100%および湿潤状態の異なる3つの腐食環境下に150日間,40℃で恒温恒湿装置内に保持し,腐食促進させた.アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼線ストランドは,相対湿度60%および100%の腐食環境下での腐食による質量減量は,湿潤環境下よりも遥かに小さく,ほぼ健全であった.湿潤環境下での腐食量は大きかったが,亜鉛めっき鋼線ストランドに比べて質量減量は小さく,耐食性に優れていた.これは,アルミニウム・亜鉛合金めっき層が緻密で鉄層と剥離しにくいためである.さらに,ストランド内の鋼線は外層・内部・中心の順で腐食量が大きかった.