2014 年 70 巻 3 号 p. 377-388
2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震では,都市ガスや上下水道などの地中埋設管に多数の被害が生じた.とくに宮城県仙台市では約23万戸の断水が発生し,水道管被害の多くは丘陵地を造成した人工改変地に集中した.管路被害予測式では,地震動強さの関数である標準被害率曲線に各種の補正係数を乗じることにより,被害率を算出している.しかしながら,自治体の地震被害想定等では,改変地形の考慮が必ずしも充分ではないことがある.本研究では,東日本大震災により被害を受けた宮城県仙台市を対象地として水道管被害の分析を行い,丘陵の造成地の影響を考慮する方法を提案する.なお,補正係数の値に関しては,他地域の事例も併せて分析したうえで設定すべきものと考えられる.