2014 年 70 巻 3 号 p. 457-462
歩行者の鉛直歩行外力に関して,わが国では,一般に梶川が提示した歩調と衝撃力比および移動速度の関係を使用する場合が多い.歩行外力は個人差が大きいと予想され,たとえば体格の異なる男女では歩行外力も含めた歩行特性は異なる可能性がある.そこで,本研究では,1歩/秒~4歩/秒の広範囲の歩調域において,歩行時と走行時における人体腰部の加速度応答をFFTでスペクトル解析した結果(パワースペクトル)を用いて,歩調成分の衝撃力比を算定した.その結果,本手法で算出した衝撃力比は,性別や体格差などによる個人差は幾分認められたが,算定値は梶川の衝撃力比と比較的良く一致した.また,歩行速度も梶川の歩行速度と非常に良く一致したが,走行速度は若干の相違が認められた.