2014 年 70 巻 5 号 p. II_96-II_105
2005年に複合構造委員会が発足して以来,最大震度6強を観測した被害地震が複数発生し,多くの社会基盤施設に被害が見られたが,比較的新しい複合構造物には際立った被害が出なかったこともあり,これまでに複合構造委員会が地震被害調査団を結成したことはなかった.しかし,2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に対する土木学会各委員会の調査結果を検討した結果,2009年に制定された複合構造標準示方書の今後の改定スケジュールや,複合構造物に関する技術基準類も整備されつつある現状において,複合構造物の地震被害状況を把握することは,示方書の改訂や複合構造の新たな研究・開発に寄与するものと考えられ,『東日本大震災被害調査小委員会』を設置し,1年半の調査活動を行った.本報告は,その成果を取りまとめたものである.