2015 年 71 巻 4 号 p. I_123-I_135
本稿では,南海トラフ巨大地震において巨大津波の来襲が懸念されている和歌山県串本町の街地・平地を対象地域として選定し,強震動の作用が津波避難に及ぼす影響について基礎的な検討を行った.その際,強震動シミュレーションの実施に先立ち,対象とした津波来襲地域(1.06km2)において525地点に及ぶ常時微動計測を行い,得られたH/Vスペクトルに基づきサイト増幅特性を評価することで,南海トラフ巨大地震による対象地域での強震動の高密度予測を行った.その結果,サイト増幅特性の差異に主に起因して,対象地域内において予測される地震動の特性に有意な差異が見受けられること,強震動の作用が津波避難に及ぼす影響が比較的大きいことなどが明らかとなった.