抄録
様々な立地条件に設置された鉛直アレイ地震観測システムのデータから求められた周波数依存減衰モデルを対象として,減衰モデルの統計的特性について検討した.はじめに,水平成層地盤で高密度に地震計が設置されている地点の鉛直アレイ観測記録から得られる減衰モデルの適切性に関する検討を実施した.周波数依存減衰モデルを用いた場合と,周波数非依存減衰モデルを用いた場合との比較を行い,周波数依存減衰モデルの方が,観測記録との適合性において適切なモデルであることを情報量基準によって定量的に示した.次に,関東甲信越地方を中心とした29地点の鉛直アレイ観測記録から同定された周波数依存減衰モデルを統計処理した.その結果,地形分類もしくはVs代表値によってグループ化された平均的な周波数依存減衰モデルが得られた.