抄録
本論文はまず,南海トラフ地震において津波被害を大きく受けると予想される東海地域,紀伊半島,四国の事業体にアンケートを行い,被害予測を行うための水道施設の情報と津波対策の有無について調査し,考察を行った.つぎに,各事業体から提供して頂いた情報に基づいて,各取水施設と浄水場の位置と内閣府南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループによって示された津波高,浸水深等のデータから津波被害予測を行った.その結果,津波波力による中破の可能性のある施設,浸水により塩水障害の生ずる可能性のある施設が少なからずあること,東北地方太平洋沖地震以降も津波対策がほとんど進んでいないことなどが明らかとなった.さらに,これまでほとんど注目されていない,津波の河川遡上による取水施設の塩水障害にも着目した検討を行った.