2015 年 71 巻 4 号 p. I_780-I_798
ケーブル併用制震すべりシステムは,構造体をすべり支承で鉛直支持し,地震時水平方向には低摩擦で絶縁してケーブルに復元力を持たせ,制震ダンパーで地震時慣性力を低減する.このシステムでは,入力される地震エネルギーを弾性ひずみエネルギーに変換して一時的に貯蔵し,制震ダンパー等による減衰エネルギーにより地震エネルギーを消費する.また,すべり支承や制震ダンパーは剛塑性型の履歴特性を有しているため,変位にしたがい応答時の周期特性が変化する.本研究では,本システムを吊橋の床組縦桁に適用した場合の非線形時刻歴応答解析による応答性状から,各部位の応答時の周期特性を把握するとともに,各デバイスが蓄積および消散するエネルギーを分析した.この結果,本システムを適用した各部位の周期特性ならびに各デバイスが床組縦桁の耐震性に及ぼす効果を明らかにした.