抄録
東日本大震災では津波避難の難しさが改めて認識された.津波来襲まで30分以上の時間があり,公的機関から津波や避難の情報が提供されていたが,多くの住民が津波にのまれた.本研究では,発震から避難開始までを対象とした避難者発生に着目する.著者らは,さまざまな人々が住民の早期避難に繋がる重要な役割を担っているとの認識に基づき,避難者発生モデルを用いた避難数値計算手法を開発している.本研究では,同手法を東日本大震災時の石巻市門脇地区の避難行動に適用し,避難開始の特徴を考察した.その結果,同地区では時間の経過とともに情報発信源が減少し,避難を開始しづらい状況へと推移したことがわかった.また,海岸付近では,高台付近と比較して情報発信源が少なく,避難を開始しづらい状況であったことがわかった.