2016 年 72 巻 3 号 p. 407-419
鋼材にSn(スズ)を微量添加することで耐食性を向上させたSn添加鋼が開発されている.本研究では塗装Sn添加鋼の鋼橋への適用性を明らかにするため,防食欠陥部からの腐食劣化特性の評価を行った.A塗装系とC塗装系の2種類の塗装系を用いて防食塗装した鋼板に防食欠陥部を設け,塩水噴霧複合サイクル環境促進実験を実施した.防食欠陥部からの塗膜のふくれを劣化指標として経時的な防食塗装劣化の評価を行った.また,防食欠陥部付近の残存塗膜および腐食生成物を除去し,下地鋼材の腐食量の評価を行った.その結果,Sn添加鋼ではSM鋼と比較して防食欠陥部周辺の腐食量がA塗装系で約80%,C塗装系で約60%に抑制される効果が確認された.また,塗膜劣化および鋼の腐食劣化の抑制効果はA塗装系よりもC塗装系において大きいことを確認した.