2016 年 72 巻 4 号 p. I_404-I_412
1943年9月10日,鳥取県東部を震源として鳥取地震(M7.2)が発生した.現存する地震関連資料から,鳥取市街地またはその周辺に存在した学校建物は場所により被害程度に差が出たことがわかっている.本研究では,学校建物被害が異なる原因を究明することを目的として,地盤構造モデルの構築及び地震動評価を実施した.学校被害サイトを対象に常時微動観測を実施し,3成分単点観測に基づくH/Vスペクトルとアレイ観測に基づく位相速度分散曲線を用いて地盤構造モデルを構築した.推定した構造モデルを用いて統計的グリーン関数法による地震動評価を実施することで,各サイトの地震動特性の違いを評価した.その結果,甚大な被害が生じたサイトでは建物固有周期帯域(0.2-0.4sec)及び中間周期帯域(1.0-2.0sec)の両方で応答値が大きくなる傾向がみられた.