抄録
2014年11月22日に発生した長野県北部を震源とする地震では,白馬村神城地区内の集落の住家等において倒壊を伴う深刻な被害が発生した.一方で,同じ神城地区内においても住家等が無被災であった集落も確認されている.神城地区内の被災集落ならびに無被災集落に作用した本震時の地震動を推定することは,宅地や木造建築物などの耐震性評価手法の精度向上などを図る上で大変有意義である.そこで本稿では,神城地区において臨時の余震観測を高密度に実施し,得られた記録に基づいてサイト特性を評価した.そして,経験的サイト増幅・位相特性を考慮した強震動評価手法に基づき,本震時に神城地区に作用した強震波形を広域にわたり評価した結果について報告する.