2016 年 72 巻 4 号 p. I_733-I_747
2009年に発生した駿河湾を震源とする地震を契機として,盛土のり面緊急点検が実施され,特に危険性の高い盛土については耐震性評価を行っている.耐震性評価はニューマーク法によっているが,一般的に安全側とみなされる設計地震動が用いられている.しかし,2011年に設計地震動が見直され,従来は安全側とみなされていた地震動が必ずしも安全側の評価とならないことが懸念された.これまでに道路および関連施設の盛土のり面を対象に,タイプの異なる地震動について耐震性評価を行い,残留変位量と影響素因との相関を明らかにした.本稿では盛土内の地震応答の影響について検討し,設計地震動のタイプの違いによる残留変位量の大小関係について精査した.さらに,降伏震度と残留変位量の相関からレベル2地震動における残留変位量の簡易推定法を提案した.