抄録
本稿では,2014年長野県神城断層地震において深刻な住家被害等が発生した白馬村神城地区を対象に,本震時に作用した地震動を広域かつ高密度に評価した.具体的には,まず,特性化震源モデルに基づく強震波形計算を行い,神城地区内における常時微動計測地点(計232地点)における本震時の地震動を推定した.次に,推定地震動を入力波とした墓石の転倒解析を実施し,転倒率に関する実績値と推定値を比較することによって,推定地震動の適用性について確認を行った.最後に,推定地震動の指標値と住家の被災実績との関係に基づくフラジリティカーブを構築し,地震動指標に関する考察を行った.