抄録
2014年長野県北部の地震は震源深さが浅い内陸地殻内地震であり震源近傍域に強震動を引き起こすとともに,起震断層と考えられる糸魚川-静岡構造線を構成する神城断層に沿って地表地震断層が確認された.地震発生直後に地震被害調査を行い震源近傍域で強震動と断層変位に伴う地盤変形に起因すると考えられる構造物の被害を確認した.また経験的グリーン関数法を用いたフォワードモデリングにより震源モデルを推定した.その結果,断層面上にやや大きめの一つの強震動生成域を設置することにより震源近傍の観測記録を再現できることがわかった.また,本地震の震源モデルの地震モーメントと短周期レベルの関係は既往のスケーリング則で表現できることなどが明らかにされた.