2017 年 73 巻 2 号 p. 364-375
橋梁の維持管理を進める上で飛来海塩粒子の影響は甚大であり,そのため部位別飛来塩分量の推定が重要である.一方で実務では複数橋梁を広域的かつ同時に管理する必要から,橋梁ごとに観測やモニタリングを行わずに広域的に腐食環境を把握できることが望ましい.本報ではまず,任意地点の風速・風向及び大気中塩分濃度の算出に領域気象モデルWRFを用いた.また,対象橋梁と周辺地形をモデル化し,接近風向別の定常流れ場を算出することで,各部位近傍の風速を評価した.これらと筆者らの提案計算手法により,対象橋梁の部位別飛来塩分量を推定した.本手法にて,観測によらない風速・風向及び大気中塩分濃度の評価,さらに部位別飛来塩分量の評価において一定の成果を示しており,今後の改善及び発展を踏まえてさらなる予測精度を得られると考えている.