抄録
2016年熊本地震で益城町の狭い範囲に被害が集中した一因として表層地盤の増幅特性が推察されている.本研究ではこの推察の検証材料として当該地域に分布する凝灰質土の地盤特性の実測値を把握することを目的に,被害集中域内にある本震観測点の近傍でトリプルサンプラーにより不攪乱試料を採取し,物理特性と動的変形特性を室内土質試験より求めた.以下に凝灰質土の試験結果をまとめる.(1) 粒径のばらつきは大きく,その土粒子の密度は浅部の粘土よりもAso-4の砂・砂礫の方が小さい.(2) 動的変形特性は拘束圧と土質にほとんど依存せず,ひずみ依存性はせん断剛性比が砂,履歴減衰率が粘性土の一般的な傾向に類似している.また同地点で密度検層などから密度の深度分布を調査し,各土質の密度が周辺地盤と同程度であることも確認した.