抄録
本研究では,積雪寒冷条件下にある盛土の地震時挙動を解明することを目的として,実際の盛土での各種計測と,数値解析による耐震性の評価を試みた.まず,実際に積雪寒冷環境にある盛土において,土壌水分量の測定や簡易動的コーン貫入試験により,凍結・融雪期における盛土の水理・力学挙動の把握を行った.その上で,観測された水分量の変化やNd値の変化を踏まえ,土-水-空気連成解析手法により,盛土の地震時挙動の解明を試みた.その結果,融雪期においては盛土の耐震性が低下し,特に盛土高さが低い場合に顕著となることや,耐震性低下の要因が積雪・凍結に伴う間隙水・間隙空気の境界条件の変化であることが明らかとなった.