2017 年 73 巻 4 号 p. I_694-I_703
原子力重要施設に対しては想定を超える地震動に対しても,リスクに対する準備をしておくことが求められている.地震時,斜面崩壊土砂によって閉塞されると想定したアクセスルートの復帰計画のため,排出すべき崩壊土砂量を想定しなければならない.筆者らが提案した個別要素法簡易モデル6)では,到達距離を安全側に評価することを示したが,崩壊土砂量の想定と言う観点からすれば,必ずしも安全側になるとは限らない.本研究では,2011年東北地方太平洋沖地震で被災した福島県中通りの斜面崩壊の被害を対象に,提案した簡易モデルによる粒子の摩擦に関するパラメトリックスタディを実施し,解析パラメータが崩壊の程度に及ぼす影響について確かめ,崩壊土砂の堆積範囲や排出すべきおおよその土砂量を少なくとも保守的に評価する方法について提案する.