日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-69
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ポスター発表
メチルグリオキサールがウシ子宮内膜細胞に及ぼす影響
*阿部 良哉舘林 亮輝加治佐 実希森田 康広大蔵 聡松山 秀一
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抄録

【目的】受胎率低下が問題となっているホルスタイン経産牛では,泌乳に伴うエネルギー収支の不足分を補うべく給与されている穀物主体の飼料が糖の過剰摂取を引き起こし,最終糖化産物(AGEs)の産生が亢進されている可能性がある。また,AGEsの前駆物質であるメチルグリオキサール(MGO)は,グルコースよりもAGEsの形成を促進する作用があり,さらにそれ自身も酵素の不活性化や細胞毒性を示し,直接,細胞機能に影響を及ぼす。我々はこれまでに,ホルスタイン経産牛(TMR給与)における血中MGO濃度が,黒毛和種経産牛(粗飼料給与)と比較して有意に高いことを示している。ヒトにおいては,AGEsの蓄積が生殖機能に対して抑制的な作用を及ぼすことが示されていることから,我々は,分娩後の乳牛では穀物主体の飼料によって増加する血中MGOが子宮の機能低下を引き起こし,受胎率が低下している可能性があると考えた。そこで本研究では,MGOがウシ子宮内膜細胞に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】食肉センター由来のウシ子宮から子宮内膜細胞を単離した。8ウェルチャンバーに4.0×10⁴cells/wellとなるように細胞(P2)を播種し,24時間培養後,MGO(0, 0.1, 1 mM)を添加した。MGO添加後2, 6時間で細胞を回収し,蛍光プローブを用いて活性酸素種(ROS)の産生量を測定した。また,MGO添加後6, 12, 24時間で細胞を回収し,SA-β-gal染色によって老化細胞の割合を算出した。【結果・考察】子宮内膜細胞において,MGO(1 mM)添加によりROS産生量が増加し,添加後6時間のROS産生量は対照群と比較して有意に高かった(P < 0.05)。子宮内膜細胞に対する老化細胞の割合は,MGO(1 mM)添加後6, 12, 24時間で増加する傾向が見られた。以上の結果から,ウシ子宮内膜細胞においてMGOはROS産生を亢進し,細胞老化を誘導する可能性が考えられた。

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© 2020 日本繁殖生物学会
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