2017 年 73 巻 4 号 p. I_841-I_846
2016年熊本地震による益城町の被害を調査し,郊外の地表地震断層直近では断層変位による被害は見られても震動に起因する被害が有意に小さいことを確認した.このような現象は過去にも見られており,その要因を考察することは震源断層近傍の地震被害検討にあたって重要である.そこで,地表地震断層は見られるが震動被害が見られない地点(下陳)と地表地震断層から離れて木造家屋の倒壊が見られる地点(田原)において余震観測を実施し,被害差を説明できるほどではないが,被害が見られた地点の方が断層ごく近傍よりも地盤増幅が大きい結果を得た.また,常時微動単点観測を複数の地表地震断層地点で実施した結果,断層ごく近傍では周辺に比べて微動H/Vスペクトルのピークが顕著に見られない傾向があり,地盤の影響が大きいことが示唆された.