抄録
広域ライフラインを対象として,被災リンクの復旧所要時間を明示的に取り扱った地震被害・復旧シミュレーション手法を提案した.まずリンク構成要素ごとの被害率と復旧所要時間に基づいて,リンク被害発生を条件とする条件付復旧所要時間を定式化した.さらに,これを期待値としてばらつきを考慮してリンク復旧所要時間をシミュレートする方法を提案した.宮城県企業局の大崎広域水道用水供給事業と仙南・仙塩広域水道用水供給事業を対象として,送水ネットワークのモデル化と東日本大震災の被災事例に基づくパラメータ設定を行い,モンテカルロ・シミュレーションによる送水信頼性解析と復旧過程のケーススタディを行った.その結果,実際の被災状況を平均的に捉えるとともに,同じ条件下で起こりうる多様なパターンを示すことができた.