2018 年 74 巻 4 号 p. I_160-I_167
鉛直アレーによる強震観測記録をもとに,時間領域で基盤入射波を推定する方法について再考した.既往の方法としては,基盤面より上方の地盤の振動を表す運動方程式と粘性境界の式を連成し,通常は入力項目である基盤入射波を出力項目とする方法が提案されている.それに対してここでは,これらを連成させることなく,基盤面より上方の地盤の応答を先に求め,粘性境界の式を後から適用して基盤入射波を推定する方法を考案した.この方法によれば,これまで順方向の解析に用いられてきた任意の地震応答解析プログラムを,ソースを書き換えることなく基盤入射波の推定に利用できる.提案法の適用事例として,兵庫県南部地震におけるポートアイランドの鉛直アレー観測記録をもとに,基盤入射波の推定を行った.