2018 年 74 巻 4 号 p. I_731-I_744
制震ダンパーとして粘性ダンパーを用いた道路橋を対象とし,その地震応答に及ぼす直接基礎の浮き上がりの影響について地震応答解析により検討を行った.検討の結果,粘性ダンパーを上部構造と橋台へ接続した場合,浮き上がりの考慮の有無に関わらず,ダンパーの減衰力の増大に伴い橋脚塑性ヒンジ区間の曲率の最大値は小さくなる傾向がみられた.浮き上がりを考慮しなければ塑性ヒンジ区間における曲率の最大値が降伏曲率より大きくなる場合,多くの検討ケースでは,浮き上がりによる免震効果によって塑性ヒンジ区間における曲率の明らかな低減が見られることがわかった.また,ダンパーを上部構造と橋脚へ接続した場合,ダンパーの減衰力がある値より大きくなると,浮き上がりの考慮の有無に関わらず,減衰力の増加に伴い曲率が増加することがわかった.