2018 年 74 巻 4 号 p. I_883-I_896
地震時の無筋コンクリート橋脚の典型的な被害形態は,打継目における水平ずれと打継目下側のコンクリート端部の破壊である.地震時安全性の評価には,数値解析によるアプローチが有用であるが,無筋コンクリート橋脚に適した解析手法は確立されていない.本研究は,離散体の解析手法である改良版個別要素法を改良して,無筋コンクリート橋脚の振動台実験挙動を再現することを目的とする.まず,摩擦係数だけでなく剛体のロッキング挙動を理論通りに再現できる新しいばね配置モデルを提案し,有効性を確認した.次に,新しいばね配置モデルを用いて振動台実験の再現解析を行った.新しいばね配置モデルに加え,解析モデルの見直しによって,水平ずれと破壊挙動の再現性が向上した.回転角の再現性には課題を残すが,従来よりも改善することができた.