2018 年 74 巻 5 号 p. II_81-II_99
合成はりの曲げ破壊照査に際し,発生する材料損傷の種類やそれらの発生順序を任意に設定することができれば,鋼とコンクリートの材料特性を最大限に活かした合理的な設計が行える可能性がある.そこで,本研究では,このような設計法の構築に資するため,剛体ばねモデルを用いた非線形解析を実施し,ずれ止めの配置間隔,鋼はりやコンクリート床版の断面諸量が合成はりの耐荷挙動に及ぼす影響について検討した.その結果,コンパクト断面を有する合成はりの耐荷挙動は,構成材料の損傷と関連した4つの荷重段階で特徴付けられることを示した.また,それらの荷重値はずれ止めの配置間隔や鋼材の降伏強度によって大きく増減するが,コンクリートの圧縮強度が及ぼす影響は小さいことを明らかにした.