2019 年 75 巻 3 号 p. 311-319
本報告は日本全国の港湾桟橋を対象に作成された維持管理計画書と港湾計画図などの既存資料から目視点検,環境条件,構造条件等の諸データを抽出し,統計解析に基づいて今後の維持管理の効率化に向けた基礎的考察を行った.その結果,港湾桟橋の劣化傾向は,気温,乾湿,風向などの環境条件に強く支配され,強い地域性を示すことが分かった.さらに,環境条件によりグルーピングを行い,それぞれに桟橋の構造条件との関連を分析することにより,地域別の劣化要因を抽出することができた.本報告の成果は,今後の効率的な維持管理計画の立案を支援するものと考えられる.