2019 年 75 巻 3 号 p. 350-366
本研究では,すでに阪神高速道路で実用化されている鋼管集成橋脚の制震機能の強化を目的として,横つなぎ材のウェブに使用している履歴型せん断パネルダンパーの改良案を解析的に検討した.改良案として,せん断パネルに垂直補剛材を設け,補剛板とした場合と波形鋼板を使用した場合の2ケースを検討した.その結果,せん断パネルに垂直補剛材を設け,アスペクト比およびせん断幅厚比を小さく制限することで,せん断パネルの座屈変形が抑えられ,変形性能などの制震機能が向上することがわかった.また,せん断パネルに波形鋼板を用いることで,同様に座屈変形が抑えられ,変形能などの制震機能が向上し,さらにフランジや補剛材との溶接部付近の塑性ひずみを抑えることができ,低サイクル疲労への抵抗性能も大きくなる可能性があることがわかった.