2019 年 75 巻 4 号 p. I_569-I_578
平成24年に改訂された鉄道構造物設計標準(耐震設計)では,設計地震動を超える地震が発生しても破滅的な状態に至らないように配慮する「危機耐性」の概念が導入された.本論文では,危機耐性を高める構造形式として,「自重補償柱」を設けることで柱や橋脚などの鉛直方向の部材に著しい損傷が生じても上部工等を支持する性能を確保する「自重補償機構」のコンセプトを示すとともに,模型実験により構造物に大きな変位が生じた際の自重補償機構の鉛直支持機能について確認した.実験では,構造物に設計上の終局点を超える変位を与えて損傷させたが,損傷した柱の代わりに自重補償柱が上部工の重量を支持できており,自重補償機構が危機耐性の向上に寄与できることを確認した.