土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
地震工学論文集第38巻(報告)
2018年島根県西部の地震による被害地域での臨時余震観測および微動観測
野口 竜也香川 敬生吉田 昌平山口 仁
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2019 年 75 巻 4 号 p. I_701-I_713

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抄録

 2018年4月9日に島根県西部の大田市付近を震源とするMj6.1の地震が発生した.震源近傍の島根県大田市の一部の地域で建物被害,液状化による被害が生じた.被害は狭い範囲内で発生していた.そこで本研究では,被害が集中した地域で臨時余震(強震)観測および微動観測を実施した.その観測記録を用いて地盤震動特性の把握と地盤構造の推定を行い,被害との関係を調べた.被害が多く発生した波根地区の微動H/Vの特徴としては1~3秒と0.2~0.5秒付近にピークがみられ,短周期側の卓越周期と建物被害が関係している可能性がある.余震観測による地震動H/Vは0.5秒以下の周期帯域で微動H/Vよりも大きくなる特徴がみられた.表層地盤は軟弱な砂もしくは粘土層が堆積しており,微動アレイ観測記録よりS波速度は110m/s~320m/sで層厚が最大で40m程度と推定され,短周期側の卓越周期に対応し,建物や地盤の被害に影響を及ぼしていると考えられる.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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