2020 年 76 巻 1 号 p. 1-14
本論文は,F10Tを用いナット回転角法でボルト締付けを行った高力ボルト摩擦接合接手に関する実験的研究である.本研究では,無機ジンクリッチペイントを施した同継手のナット回転角法の適用に向けた基礎データを取得することを目的として,まず,一次締めに関して,スナッグタイト(人力で力いっぱいでのボルト締付け)の適用性を調べた.次に,ボルト径およびボルト長をパラメータとした導入軸力試験およびリラクセーション試験を行い,適切なボルト軸力,すなわち,ボルトねじ部が降伏域に入らないでリラクセーション後も設計ボルト軸力を満足できるナット回転角を提案した.さらに,提案したナット回転角を用いてすべり試験体を作成し,すべり耐力試験を実施し,F10Tのナット回転角法の適用に向けた検討を行った.