2020 年 76 巻 1 号 p. 15-28
腐食損傷した鋼桁端部の補修における当て板溶接の適用性を検討するため,一連の基礎的実験および解析を実施した.腐食損傷した鋼桁端部を想定し,減厚を与えた鋼十字断面柱を圧縮実験に供し,弾塑性有限変位解析による圧縮実験のシミュレーションを実施した.実験および解析結果から,当て板を溶接した供試体の圧縮挙動に及ぼす溶接残留応力の影響を明らかにした.さらに,健全状態と同等の耐荷性能を確保するために必要な当て板の配置および寸法について検討した.本研究では,下フランジ上面からウェブ高の10%の領域において,ウェブおよび垂直補剛材を元の厚さの50%まで減厚した.これに対し,減厚量の1.5倍以上の厚さの当て板をウェブおよび補剛材の片側から溶接することで,耐荷性能を健全状態と同程度まで回復させられることを示した.