2020 年 76 巻 1 号 p. 41-60
マルチハザードを連続して受ける構造物の信頼性評価法を提案する.提案手法では,マルチハザードとして強震動と津波ハザードを扱い,強震動による損傷を津波作用時の構造解析に引き継ぐことで,各ハザードの連続作用を考慮した構造物の信頼性評価を可能にする.断層の運動から解析対象サイトにおける強震動と津波強さの予測,あるいは,それらを受ける構造物の脆弱性評価に伴う不確定性をハザード解析とフラジリティ解析において陽に取り扱った.ケーススタディとして南海トラフ地震を想定し,複数の都市に位置する橋梁および盛土構造物を対象に提案手法を適用することで,対象構造物に被害を及ぼす主たるハザードの同定や,対策を急ぐべき地域あるいは構造物の優先度を決定できることが示された.