2020 年 76 巻 1 号 p. 61-66
無機ジンクリッチペイントを施した高力ボルト摩擦接合継手は,リラクセーションによるボルト軸力低下が大きく,第1著者は,設計ボルト軸力の15%増し締めで施工すれば,ボルト継手の安全性・信頼性が向上することを示した.ただし,S10Tは所定の軸力に達した時にピンテールが破断する構造であり,より高い導入軸力での施工は困難である.そこで,一次締めを導入軸力の80%とし,24時間後に本締めを行うことによりリラクセーションによる軸力低下が改善され,15%増し締めと同等な残存軸力が期待できることを示した.ただし,継手形式および板厚の影響については明確にしていなかった.本研究では,2面摩擦および1面摩擦の薄板・厚板継手を用いて,上記締付け法の軸力低下改善効果を確認する試験を行った.