2020 年 76 巻 1 号 p. 139-151
首都高速道路は1962年の開業から50年以上が経過しており,大型車の繰り返し通行により鋼橋に多くの疲労損傷が生じている.鋼橋の維持管理を適切に行う上で,疲労損傷に対して予防保全対策の必要性,実施時期を判断することが不可欠であり,そのためには自動車荷重の実態を把握することが重要となる.首都高速道路では主要な料金所に軸重計が設置されており,近年ETCの導入に伴う機器整備により車重も計測できるようになった.本稿では,鋼橋の疲労に与える影響という観点から2016年4月の軸重計記録を用いて首都高を通行する自動車荷重の実態を示すとともに,過去に計測された車重と比較することで近年の疲労環境は1980年代後半から1990年代前半に比べて改善されていることを示している.