2020 年 76 巻 1 号 p. 82-93
露出形式水圧鉄管のサドルサポートは,満水時の管胴の周方向曲げモーメントが設計上の留意点であり,水門鉄管技術基準にはサドル部の支持角をパラメータとし,全モーメントを求める係数の算定式と管軸方向有効幅が与えられ,周方向応力の算定手順が定められている.これらは1940年代に米国で行われた試験研究が根拠となり,管の接線方向せん断力による力の伝達が前提となっているが,支持角以外は考慮されていない.既設水圧鉄管の高経年化に伴う維持管理問題の重要性の高まりを背景に,本論文では周方向応力の推定精度向上を目指して数値解析的検討を行った.周方向曲げモーメントに対する影響因子として,サドル形状,材質,鉄管の(半径/板厚)比を取り上げ,パラメータ解析を通して現行評価法の特性を明らかにし,精度向上に向けた提案を行っている.