2020 年 76 巻 3 号 p. 580-596
本研究では,鉄道橋りょうの断面剛性の推定の高精度化を目的として,実橋測定および3次元有限要素解析を用いて非構造部材が主構造の曲げ剛性に与える影響度を定量化し,非構造部材および伸縮目地を考慮した断面剛性の簡易評価法を提案した.実橋りょうの測定結果から,非構造部材においても,列車通過時に応力が発生しており,非構造部材が一定程度列車荷重を負担していること,伸縮目地近傍の非構造部材は,ほとんど応力を負担しておらず主構造の剛性評価における有効断面として機能していないことを明らかとした.提案手法は,非構造部材種別毎に定量化した有効係数,非構造部材上に設置される伸縮目地による有効係数の低減を考慮して,断面剛性を平面保持の仮定に基づき簡易に評価でき,実務設計における汎用性が高い手法である.