2020 年 76 巻 3 号 p. 560-579
測定データに基づく構造モデル更新は,性能ベースの維持管理や対策効果の定量的評価の根幹技術として近年広く検討されている.本研究は,現有性能の不確実性を考慮した構造モデル更新と補強効果の信頼性評価を目的とし,MCMC法とGAを組み合わせたデュアルサンプリング法を提案する.提案手法を支点追加補強の導入が検討される高速鉄道橋の最大変位測定データに適用した結果,MCMC法のみで評価できない現有性能の不確実性をデュアルサンプリング法により精緻に推定できることを示した.また,適用事例では,デュアルサンプリング法で推定した現有性能の不確実性が,既存支点から概ね1.5m以内の位置への支点追加補強を考える際に,必要とされる追加支点の支持剛性に大きく影響することを明らかにした.