2020 年 76 巻 4 号 p. I_32-I_46
南海トラフ地震による強震動と津波を受ける道路ネットワークのリスク・レジリエンス評価手法を提案し,構造物の補強優先度判定への適用例を提示する.道路構造物の被災により生じる経済的損失からリスク,地震後の交通機能(ネットワーク)の低下と回復時間からレジリエンスをそれぞれ定量化した.それらの指標を算定する際の核となる信頼性評価では,Monte Carlo法に基づく確率計算の中で,断層運動の予測からハザード強度の推定,さらには構造物の脆弱性評価に伴う一連の不確定性を考慮した.ケーススタディでは,南海トラフ地震の影響域にある道路ネットワークを対象に提案手法を適用することで,リスク・レジリエンスを判断指標として構造物の補強優先度を同定できることを示した.