2020 年 76 巻 4 号 p. I_765-I_773
地震発生時,特に,地震発生直後の情報の少ない段階においては,適切な初動体制を構築するため,施設被害の推定情報の迅速な提供が強く求められている.現在,発災直後の地震被害の概況を知る手段として,「構造被災度推定フロー」を用いた道路橋の被災度推定手法が存在する.この手法を熊本地震における実際の被災度と比較・検証を行った結果,現在用いている「構造被災度推定フロー」による推定被災度は,概ね妥当な結果が得られていることが確認できたが,実際の被害状況と比較して小さく推定している箇所もあることが判明した.
本論は,「構造被災度推定フロー」による被災度よりも実被害の判定の方が上回っているような,危険側の推定を行っている箇所について,原因の考察及び現在のフローの課題抽出を行ったものである.