2020 年 76 巻 5 号 p. II_17-II_28
鋼桁橋などの床版の取替え工車におけるプレキャストPC床版の接合方法の1つとして,接合部に孔あき鋼板ジベルを配置し,そこに鋼繊維補強モルタルを後打ちして床版同士を接合する方法が提案されている.本研究では,この方法に着目して,モルタル打設時の接合部下面の型枠を兼ねるプレキャスト床版のアゴの有無,およびモルタル中の鋼繊維混入率をパラメータとした接合構造の曲げ試験を実施した.その結果,これらの要因が接合構造の曲げ挙動に大きく影響することがわかった.また,孔あき鋼板ジベルの引抜き試験も実施し,引抜き試験体のせん断耐力と曲げ試験の結果から推定される孔あき鋼板ジベルのせん断耐力は概ね一致した.この結果に基づき,引抜き試験で得られる孔あき鋼板ジベルのせん断酎力から,接合構造の曲げ耐力の推定方法も示した.