2021 年 77 巻 2 号 p. 229-242
本報告は,無塗装および塗装による補修後の耐候性鋼橋を環境因子から保護するため,鋼桁の側面と下フランジ部を金属サンドイッチパネルで覆った場合の腐食挙動を評価するものである.この桁外と遮断された内部空間の環境改善効果は新設塗装桁で検証されているが,補修塗装後や飛来塩分の付着した耐候性鋼橋を覆った事例はなく,鋼材表面や塗膜と鋼材間に内在する塩分の影響が確認できていない.
本報では,金属サンドイッチパネルを設置した鋼桁内部空間にさびの進行した無処理の小型試験体,素地調整や補修塗装を想定した小型試験体を配置し,腐食の推移と防食効果の有効性を述べる.
試験体の初期データにより数値上の変動はあるが,さび厚変状やイオン透過抵抗法などによる評価結果より,塩分を内在した耐候性鋼の腐食挙動と環境改善の効果を確認した.