2021 年 77 巻 2 号 p. 319-332
非合成桁においても,RC床版の劣化によりPCa床版に取替える事例が増えているが,その際のずれ止め配置方法はあまり明確にされていない.そこで本研究では,実際的な諸元の単純非合成桁および2径間連続非合成桁にPCa床版を用いる場合について,使用性および安全性の限界状態を満足するずれ止めの配置を検討している.ここでは,特に,ずれ止めの応答値に着目していることから,不完全合成桁の挙動を確認するに際して有効である剛体ばねモデルを用いた弾塑性解析によって,死荷重および活荷重の載荷履歴の考慮に加えて,鋼桁と床版の温度差の影響も考慮している.その結果,PCa床版を有する非合成桁において,使用性の限界状態を満足するずれ止め配置とするためには,桁端付近のずれ止め配置には配慮が必要であることがわかった.